打ち切りマンガレビュー『シューダン』を語る。
打ち切りになった『シューダン』を振り返ろう。
週刊少年ジャンプで連載していた横田卓馬先生の「シューダン」が連載終了になりました。
連載期間は2017年28号~2018年6号までの連載で全28話。コミックは全4巻予定。
週刊少年ジャンプのサッカーマンガは鬼門。
ジャンプのサッカーマンガの代表作といえば「キャプテン翼」
世界のプロサッカー選手が鑑賞し、翼のようにとサッカーを志すキッカケに
なっているのは有名すぎる話(翼が劇中でバルサに入団すると何故、うちのチームじゃないんだと抗議があったくらい)
そんな有名なサッカーマンガの金字塔の「キャプテン翼」も実は打ち切りの憂き目にあっている。「キャプテン翼」の続編として始まったワールドユース編は全18巻と連載したが途中で人気が下降して当初の予定よりも駆け足展開になり打ち切りとなっている。
(今年は4月からアニメ化も決定していたり。キャプテン翼シリーズ通算100巻突破など話題には事欠かない)
その他にも「ホイッスル」も人気になりアニメ化もされたが…主演が小向美奈子の影響もあって再放送が中々できないなどもあった(その後、映像はそのままに声優だけ一新されたモノが制作された)
その後も2000年代に入ると益々、厳しくなってくる。2000年以降は3巻の壁を越えるサッカーマンガが出てこない状況になる(作品については動画にて言及してます)
その鬼門を打ち破るために「背すじをピン!と」を連載していた横田卓馬先生に
白羽の矢が立った。(そもそも横田先生はマガジン系の作家だったのをヘッドハンティングして連載させた異例の漫画家さんだ)
だが、その結果は打ち切り…
何故なのか?それを振り返っていこうと思う。
前もって記述しておくが自分は横田先生のファンなのでディスるわけではないのをご理解いただきたい。
大きな要因は『練り込み不足』
横田先生は「背すじをピン!と」連載終了から4ヶ月で「シューダン」を
連載開始させている。
連載2ヶ月前までは編集との打ち合わせでは能力バトルものを構想中だったそうです。
画像はイメージですw
それをナシにしてサッカーマンガにしようという方向性になって
ジャンプの連載会議を2週間前になって横田先生は1話を書き上げてきたそうです。
それを見て編集さんは、今回の連載会議をスルーして次の連載会議に提案するつもりだったのを横田先生は連載会議2週間前からで全3話分を仕上げてきたので連載会議に
間に合わせたそうです(連載会議の提案するには3話分が必要のが通例)
その結果、連載を勝ち取ります。そのスピード感は凄い。
でも、それが後に結果的には命取りになるのだが…
連載スタートすると流石の横田先生の上手さが出ていた。
3話までの流れは完璧と言ってもイイぐらいの作品で「これはキタ!」と
なったし。ネットなどでも高評価だった。
(1~3話までのレビューは動画にて言及)
シューダンのコンセプトは「集団」??
割とサッカーマンガだとバディものとしても楽しめるモノが多い。
「キャプテン翼」では翼と岬くんだし。
現在、連載されている少年誌だと…
マガジンの「DAYS」だとつくしと風間。
サンデーの「BE BLUES」だと龍と優人。
そこを外して主要メンバー3人。
ソウシ・ナナセ・ロクが中心に描く浜西FCの群像劇になっている。
それが命取りになってしまった。
確かに3話までなどの流れは良かったのだが浜西FCのチームコンセプトが
「サッカーは好きだけど強いチームには行かないメンバー」で構成されている。
なので現在、連載中のスポーツマンガ「ハイキュー」の様に春高に出場するみたいな
目的がないので「スポコン的な熱さ」的な盛り上がりに欠けてしまう。
そもそも、ナナセと出会って少しずつ意識が変わるというのが新連載として
強い引きがない。コレは最近の傾向だが「ハイキュー」も「黒子のバスケ」も
スタートから主人公たちの実力が出来上がっているモノが多い。
近年は俺TUEEEが確立してるのもあってテンポが大事。
それは「ランウェイで笑って」でも言及したと思う。
スポーツものとして行くのか?サッカーをツールにした群像劇にするのか?
が分かりにくいのは否めない。
そこの選択は難しいですね。
いま、アニメ化している「ブラッククローバー」なんかはテンポ良さと
インパクトが特徴的で分かりやすい。
…と思ったら最近、人気になっている「鬼滅の刃」は序盤、世界観の構築に
チカラを入れていて個人的には面白いけど。打ち切られないかハラハラしてた印象がありましたが今や看板マンガの一角なので。難しいですよね。
設定の練り込みとは…??
「ハンターハンター」のGIのカードのルール設定や「ワールドトリガー」のような
チーム戦が主になるモノは設定が良く練られてるし。
現在、人気の「約束のネバーランド」も1年くらい企画を練っている様だし。
「Drストーン」も前作の「アイシールド21」と全く違うモノなのにヒットしてる。
(ここについての詳細は動画にて…)
「背すじをピン!とね」から4ヶ月後の連載はスピードありすぎるので
取材や横田先生が少年時代にサッカーしてるなどで連載には繋がっちゃうのが
横田先生の凄さなんですが。
連載が継続するのは、また別の話だというのが浮き彫りになりました。
前作の「背すじをピン!と」も上級者・中級者・初心者ペアを配して展開したけど
最終的には主人公ペアであるつっちーペアは掘り下げが出来ずに終わってしまった印象があります。
今回の「シューダン」についても同じ結果になったので横田先生には焦らず構想を
じっくり練って次回作を描いてほしいですね。
この記事だけでなく動画レビューもあるのでコチラも是非、参照してみて下さい。
連載陣のクオリティーが下がってる??
「シューダン」のクオリティが低いというコトではなくて。
昨年の新連載6連弾の影響が大きいと思ってます。
この新連載6連弾で半分が打ち切りになっているし。
その後に連載された「シューダン」「クロスアカウント」も打ち切りになって
ます。
この掲載順位は「シューダン」最終回の目次です。
翌週に「クロスアカウント」が最終回になっているんですが
打ち切り作品の後ろに2作品も新連載が続いてるのも珍しいです。
一気に連載を投入して新連載が軒並み打ち切りというのは問題ですし。
そういう状況下だからマンガが上手い横田先生は連載会議に通っちゃいます。
なので、本誌以外もジャンプ+のアプリも連載の数が莫大にあるし。
ヤングジャンプの作品もジャンプ+で閲覧できたのに。
こういうのを発表してるので、このヤンジャンで読める作品が
増えていくと思うので粗製濫造の作品が増えてしまうのが怖いなという
印象。
(正直、ジャンプ+はジャンプと冠してますがジャンプのカラーを感じないマンガが多い印象。)
今年、創刊50周年で気合が入ってるのは分かるんですが。
若干、空回りな印象w
ちょっと、もう少し地に足をつけて欲しいですね。
漫画家さんというよりもジャンプ編集部に。